相続登記の必要書類は?(遺言書がない場合)

「親族が亡くなったので相続登記をしたいけど何を用意すればいいの?」

  

こんにちは、「相続・遺言専門の相談窓口」東静岡事務所の望月です。

  

相続による名義変更の登記をするためにはたくさんの書類を集める必要があります。

そして「遺言書がある場合」「遺言書がない場合」とで集める書類が異なる点にも注意が必要です。

  

上記の2つのパターンのうち、今回は「遺言書がない場合」の相続登記の必要書類の解説をしていきたいと思います。

  

遺言書がない場合の相続登記の必要書類

  

お亡くなりになった方が遺言書を残しておらず、法律に定められた割合での相続又は遺産分割協議を行って名義変更をする場合には、戸籍謄本(除籍謄本や古い改製原戸籍と呼ばれるものを含みます)などを全て取得して、相続に関わる法定相続人の全員を明らかにする必要があります。

法定相続人が1名しかいない場合、その方が全ての遺産を相続することとなりますが、2名以上いる場合には、法定相続人全員が参加して遺産分割協議をおこないます。

  

そして、不動産の相続登記やその他の遺産相続手続き(預貯金や有価証券など)をするには、相続人全員が実印を用いて署名押印した遺産分割協議書を作成することとなります

※法定相続分の割合で名義変更をする場合には、遺産分割協議書を作成しなくても相続登記をすることができます。

  

お亡くなりになった方(被相続人)に関して必要となるもの

  

1.お亡くなりになった旨の記載がある戸籍謄本(除籍謄本)

被相続人の死亡の旨が記載された戸籍謄本(または除籍謄本)です。

  

2.出生時までにさかのぼる戸籍謄本類(除籍謄本、改製原戸籍)

相続登記をするためには、1の「死亡の旨が記載された戸籍謄本」だけではなく、被相続人が生まれた時(もしくは、満13歳頃)から、お亡くなりになった時までの連続した除籍謄本、改正原戸籍などの全てを用意する必要があります。

さらに、被相続人にお子様(または、お孫さんにあたる代襲者)がいない場合には、被相続人のご両親についても出生時までにさかのぼる戸籍謄本などが追加で必要になります。

ほとんどの場合、大変多くの戸籍謄本類を集めることになり非常に手間がかかりますので、司法書士がご依頼者様に代わって取得のお手伝いをさせていただくのが通常です。

  

3.住民票の除票(もしくは、戸籍の附票)

相続手続きにおける「住民票の除票」とは、お亡くなりになった方の死亡の記載がある住民票のことです。

※本籍地を特定することが必要ですので、本籍地の省略のないものをご用意ください。

役所の取り扱い上、住民票は除票になってから5年の保存期限が経過してしまうと破棄され取得できなくなってしまいます。

このように住民票の除票の取得が不可能な場合には、戸籍の附票を取得するなどして対応します。

  

相続人となる方(配偶者、子、父母、兄弟姉妹など)に関して必要となるもの

    

1.戸籍謄本

相続による名義変更により遺産(土地、建物、銀行預金など)を取得されることとなる方のものだけでなく、法定相続人全員の戸籍謄本が必要となります。

※ここでいう法定相続人全員の戸籍謄本は、「相続が開始した後の日付で発行されたもの」でなければならない為、取得の際には注意が必要です。

   

2.住民票

「法定相続分の割合で相続する場合」には、戸籍謄本と同じく法定相続人全員についての住民票が必要となりますが、「遺産分割協議をする場合」には協議の結果、不動産を相続することとなった方の住民票が必要となります。

※お亡くなりになった方の住民票の除票と同様に、相続人の方の住民票についても「本籍地の省略のないもの」をご用意ください。

  

3.印鑑証明書

遺産分割協議をして法定相続分とは異なる割合で相続をする場合には、法定相続人の全員が遺産分割協議書に押した印鑑についての印鑑証明書が必要となります。

※つまり、法定相続分の割合で相続登記をする場合、印鑑証明書は不要です。

  

4.遺産分割協議書

法定相続人が2名以上いる時には、相続人全員が法定相続分の割合で共有名義の登記をする場合を除いて、遺産分割協議書が必要となります。

万が一、遺産分割協議書の記載内容に誤りがあると登記ができなくなってしまい、その場合には再度相続人全員の署名押印が必要になり大変な手間と時間が掛かりますので、正確な遺産分割協議書をご準備する為にも司法書士に依頼することをお勧めしております。

    

相続財産である不動産(土地・建物)に関して必要となるもの

  

1.権利証(登記済権利証もしくは登記識別情報通知)

相続対象の不動産を特定するための資料として権利証類を持参していただき、物件内容の確認の作業に使用させていただいております。

※売買や生前贈与による場合とは異なり、相続を原因とする名義変更(所有権移転登記)では権利証類は必要書類ではありません。

ただし、遺言書による名義変更では、相続の場合とよく似ていますが権利証が必要となる場合があるため、注意が必要となります。

   

2.固定資産評価証明書や名寄帳等

相続による名義変更(所有権移転登記)では、対象不動産の固定資産評価を示す評価証明書等が添付書類として要求されており、こちらは当該不動産の所在地の市区町村役場にて取得することができます。

登記の申請と同一の年度(令和2年に相続登記をするのなら、令和2年度のもの)のものが必要です。

相続財産を特定するためにお亡くなりになった方の「名寄帳」を取得した場合、こちらも評価証明書と同様に添付書類として使用することができます。

※登記費用のお見積りについては「固定資産税の納税通知書」がお手元にあれば、固定資産評価証明書が無くても可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

   

   

    

次回は「遺言書がある場合」の相続登記の必要書類を解説したいと思います。

  

  

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