遺言執行者の選任申立ってどうやるの?(遺言により遺言執行者が指定されていない場合)

「遺言執行者の選任申立ってどうやるの?」

 

遺言によって遺言執行者の指定がされていない場合、家庭裁判所から遺言執行者を選任してもらうことができます。

この申立は、遺言により不動産の遺贈を受けた方(受遺者)が、自分自身を遺言執行者の候補者としておこなうことも可能です。

 

家庭裁判所によって受遺者が遺言執行者に選任された場合には、遺言者の相続人の協力を得ること必要とせずに、受遺者自身が登記権利者と登記義務者(亡○○遺言執行者)の立場を兼ねることで、単独にて登記申請をおこなうことができます。

 

当事務所に遺言執行者の選任申立てのお手続きをご依頼いただければ、戸籍謄本などの必要書類の収集作業から、遺言執行者選任申立書の作成ならびに家庭裁判所への提出、さらに遺贈による不動産の登記(名義変更)にいたるまで、すべてのお手続きをまるごとお任せいただくことができます。

 

 

遺言執行者とは

 

そもそも遺言執行者とはどんな人のことでしょうか。

 

遺言執行者とは、その名のとおり「遺言の内容を実現する者」のことを指します。

遺言の効力が発生するのは、相続が開始したときですので、遺言者自身がその遺言を執行することは当然できません。

 

遺言執行者が絶対に必要となるのは、遺言によって子供を認知する場合や、推定相続人を廃除する場合などですが、遺贈(遺言によっておこなう贈与)をする場合にも遺言執行者を指定しておくことが望ましいです。

 

不動産を遺贈した場合、遺言執行者がいる場合には、受遺者を登記権利者、遺言執行者を登記義務者として、遺贈による所有権移転登記(名義変更)の申請をすることができます。

 

しかしながら、遺言執行者がいない場合には、遺言者の相続人全員が登記義務者とならなければばりません。

そのため、相続人全員から印鑑証明書の交付を受けて、登記申請の委任状に署名押印してもらう必要が出てきてしまうのです。

 

ただし、遺言によって遺言執行者の指定がされていない場合でも、相続人により遺言内容を執行するのではなく、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうことも可能です。

 

遺言執行者選任の申立てをする場合

 

遺言執行者が就任するパターンとして、以下の方法があります。

 

  1. 遺言者が、遺言によって遺言執行者を指定しておく。
  2. 遺言者が、遺言によって遺言執行者の指定を第三者に委託して、その委託を受けた者が遺言執行者の指定をする。
  3. 利害関係人からの請求によって、家庭裁判所が遺言執行者を選任する。

 

1、2の方法については、遺言者自身が生前に行うものですので、相続が開始した後に遺言執行者が必要となった場合には、3の方法、つまり家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立てをすることとなります。

 

家庭裁判所に対するの遺言執行者の選任の申立は以下のような場合におこなうことができます。

 

  • 遺言書の中で遺言を執行する人が指定されていない場合。
  • 遺言執行者がいたが、辞任、解任、死亡、または破産手続の開始決定を受けたことによって、遺言執行者がいなくなってしまった場合。

 

遺言執行者になれる人(欠格事由)

 

残念ながら、未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができません。

※民法1009条。

それ以外の方については法律上の制限は無いので、相続人や受遺者の方自身が遺言執行者となることも可能です。

 

この場合、遺言により遺贈を受けることになる受遺者自身が遺言執行者に選任されれば、登記権利者と登記義務者(亡○○遺言執行者)の立場を兼ねることによって、単独で登記申請をおこなうことができます。

 

遺言書を作成する時には、相続人や受遺者を遺言執行者に指定する場合が多いですが、司法書士や弁護士といった法律専門家を遺言執行者に指定することも可能です。

実際、当事務所にご依頼いただいたお客様の遺言書では司法書士望月を遺言執行者にご指定いただいているケースがほとんどです。

 

遺言執行者選任の申立手続

遺言執行者の選任の申立ては以下のような内容でおこないます。

当事務所にご依頼いただければ、申立書(家事審判申立書)の作成だけではなく、戸籍謄本や住民票など必要書類の収集までお任せいただくことが可能です。

 

申立てができる人

利害関係人(相続人、受遺者、相続債権者など)です。

 

申立てをする裁判所

相続が開始した場所を管轄する家庭裁判所に対して申立てます。

 

必要書類等

 

遺言執行者の選任の申立てに必要となる主な書類は以下のとおりです。

 

なお、ここで解説しているのは、静岡家庭裁判所に対して申立てをする場合についてです。

他の裁判所では必要書類や切手が異なる場合がございますので、申立前に必ずご確認ください。

 

  • 遺言執行者の選任申立書
  • 遺言者の死亡の記載がある戸籍謄本(または除籍謄本、改製原戸籍)
  • 遺言執行者候補者の住民票
  • 遺言書の写し(コピー)
  • 申立人の利害関係を証明する資料(親族が申し立てる場合は戸籍謄本)
  • 収入印紙(800円分)
  • 郵便切手(500円×2枚、80円×10枚、10円×10枚)

 

・遺言執行者の選任審判書

 

遺言執行者が選任されますと、家庭裁判所から選任審判書が交付されます。

この遺言執行者の選任審判書は「遺言執行者の資格を証明する書類」として、遺贈の登記(名義変更)を申請する際の必要書類となります。

 

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令和2年(家)第54321号

審判

本籍 静岡県静岡市駿河区〇〇番地
住所 静岡県静岡市駿河区〇〇番地
申立人 静岡 一郎

本籍 静岡県静岡市葵区〇〇番地
住所 静岡県静岡市葵区〇〇番地
遺言者 静岡 太郎
令和1年○○月○○日死亡

上記申立人からの遺言執行者選任申立事件について,当裁判所はその申立を相当と認め,次のとおり審判する。

主文

遺言者静岡太郎が平成○○年○月○日にした遺言の執行者に申立人を選任する。

令和○年○月○日
静岡家庭裁判所
家事審判官 ○ ○ ○ ○

これは謄本である
同日同庁
裁判所書記官 ○ ○ ○ ○ (印)

 

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遺言執行者に関連してコチラのページもぜひご覧ください。

当事務所では、上記のように遺言執行者の選任の申し立てが必要となった場合のご相談を承っています。

必要書類の収集から家庭裁判所とのやり取りまでお任せいただけますのでお気軽にご相談ください。

 

 

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